「営業が勝手に安請け合いしてきたせいで、工場はデスマーチだ」 「技術部が頑固で仕様を変えてくれないから、コンペで負けた」
御社の社内で、このような「敵対的な会話」が飛び交っていないでしょうか? 営業(Sales)と、製造・開発(Production/Engineering)。 本来、この二つの部門は、顧客に価値を届けるための「車の両輪」であるはずです。 しかし、多くの企業において、両者の間には深く、冷たい溝が横たわっています。
営業は「売上(数字)」を追い、製造は「品質と納期(安全)」を守る。 ミッションが異なるがゆえに、利害が対立するのは構造的な宿命かもしれません。 しかし、この対立を放置すれば、「部分最適」が優先され、「全体最適(顧客への価値提供)」が損なわれます。 結果として、納期遅延、品質不良、そして失注という最悪のシナリオを招くのです。
この壁を壊すために必要なのは、調整会議の回数を増やすことでも、業務フローを見直すことでもありません。 「相手の靴を履く(立場を入れ替えて体験する)」こと。 そして、互いの苦労とプライドを、理屈ではなく「感情」で理解することです。
マグマリゾートは、スーツと作業着を脱ぎ捨て、一人の人間として向き合うための中立地帯です。 オフィスでは決して交わらない視線が、大自然の中では交差します。 共に汗を流し、同じ困難を乗り越えた時、「あいつらは敵じゃなかった、背中を預ける仲間だったんだ」という事実に気づきます。
本記事では、長年の「製販の確執」を溶かし、最強のバリューチェーンを構築するための、マグマリゾート流「製販一体合宿」の全貌を解説します。

第1章:相互不信の正体。「見えない苦労」を可視化する逆転体験
「楽をしている」という思い込み
対立の根本にあるのは、「相手の仕事は自分より楽だ」「相手は自分の苦労を分かっていない」という思い込み(バイアス)です。 営業は「工場は涼しい顔でラインを止める」と思い、工場は「営業は口先だけで数字を作っている」と思う。 この想像力の欠如が、不信感を増幅させます。 言葉で説明するよりも、実際に相手の苦労を体験する方が、理解は100倍早まります。
マグマ・ロール・リバーサル(役割逆転)
合宿の初日、参加者は混合チームを作り、「究極のカレー作りプロジェクト」に挑みます。 ただし、通常のカレー作りではありません。役割を強制的に入れ替えます。
- 営業担当者 → 「火起こし・調理係(製造役)」
- 限られた薪と食材で、時間内に完璧なカレーを作らなければなりません。
- 「火がつかない!」「風で火力が安定しない!」
- 自然環境という不確定要素(トラブル)の中で、品質(味)と納期(食事時間)を守るプレッシャーを肌で感じます。
- 製造担当者 → 「食材調達・交渉係(営業役)」
- 運営スタッフ(市場役)と交渉し、より良い食材を確保しなければなりません。
- 「高級肉が欲しいなら、代わりに薪割りを手伝え」等の理不尽な要求(顧客要望)を突きつけられます。
- 「無理難題を言わないでくれ!」と叫びたくなる気持ちを抑え、チームのために頭を下げる辛さを知っています。
「現場って、こんなに思い通りにいかないのか」 「営業って、こんなに精神をすり減らしているのか」
互いの「痛み」を身体で知った時、不満は「リスペクト(敬意)」へと変わります。 「いつも無理言ってごめん」「いや、そっちこそ大変だったな」。 その一言が、雪解けの合図です。

第2章:共通言語を作る。専門用語(ジャーゴン)の壁を超えるコミュニケーション
言葉が通じないストレス
「リードタイム」「歩留まり」「コンバージョン」「アポ率」。 お互いが専門用語(業界用語)で話すため、会話がかみ合わず、誤解が生まれます。 「そんなことも知らないのか」というマウントの取り合いが、心の距離をさらに遠ざけます。 必要なのは、双方が直感的に理解できる「共通言語」と「翻訳能力」です。
アナログ・ビルディング
「言葉」を使わずに、「図」や「身振り」だけで情報を伝えるアクティビティを行います。 例えば、「巨大ピタゴラ装置(からくり)」の制作。
エンジニア:「ここ(物理法則)をこうしないと動かないぞ」 営業:「でも、見た目のインパクト(顧客体験)が足りないよ」
言葉で議論するのではなく、目の前の装置(プロダクト)を触りながら、一緒に動かす。 「ここを高くすれば(仕様変更)、ボールが速くなる(性能向上)ね」 「でも、そうするとこっちが壊れる(リスク)よ」
物理的な現象を通じて、「トレードオフ(あちらを立てればこちらが立たず)」の概念を共有します。 「なるほど、営業が言っていた『インパクト』とはこういうことか」 「開発が言っていた『構造的な無理』とはこういうことか」
体験を通じて得た共通認識は、オフィスに戻ってからの会議でも生きます。 「あの時のピタゴラ装置みたいに、ここはバランスを取ろう」。 そんな共通言語が、無駄な対立を防ぎます。

第3章:納期と品質のジレンマ。対立を「健全な議論」に変える夜
避けては通れない「正義の衝突」
営業の正義は「顧客の要望を叶えること」。 製造の正義は「不良品を出さないこと」。 どちらも正しいからこそ、譲れず、衝突します。 しかし、この衝突を恐れて「なあなあ」で済ませると、平凡な商品しか生まれません。 必要なのは、妥協ではなく、高い次元での統合(アウフヘーベン)です。
ボンファイア・クロス・トーク
夜、焚き火を囲んで、本音の議論を行います。 テーマは「私たちが過去に一番揉めた案件」。
「あの時、なんであんな短納期で受注したんだ?」 「競合に勝つには、あれしかなかったんだよ」 「でも、そのせいで現場は3日間徹夜したんだぞ」
過去のしこりを、炎の前で全て吐き出します。 アルコールも入り、感情的になるかもしれません。しかし、マグマリゾートの開放的な空間が、それを「建設的なエネルギー」へと変換します。
「でも、結果的にお客様は喜んでくれたよね」 「現場が踏ん張ってくれたおかげで、今のシェアがあるんだ」
文句を言い合った後に残るのは、「結局、みんな会社が好きなんだな」という安堵感です。 「次はもっと早く相談するよ」 「無理なら無理と、早めにアラートを出すよ」
対立を恐れず、本音でぶつかり合える関係(心理的安全性)こそが、最高の品質を生み出す土壌となります。

第4章:未来の「最高傑作」を妄想する。ビジョンの共有
目指す山は同じ
日々の業務に追われていると、どうしても視座が低くなり、目の前の敵(他部署)ばかり見てしまいます。 しかし、本来倒すべき敵は「競合他社」であり、目指すべきは「顧客の感動」です。 視線を上げ、同じゴールを見据えるワークショップが必要です。
ドリーム・プロダクト・デザイン
合宿の最終日、チーム混成で「夢の新商品」を企画します。 技術的な制約も、予算の壁も一切無視。 「もし、魔法が使えたら、どんな商品でお客様を驚かせたい?」
営業:「世界中の言葉が喋れる翻訳機が欲しい!」 開発:「それなら、脳波で操作できるようにしよう!」 製造:「素材は絶対に環境に優しいものにしたいね!」
営業の「市場感覚」と、開発の「技術的探究心」、製造の「こだわり」。 それぞれの強みが融合した時、ワクワクするようなアイデアが生まれます。
「これ、本気で実現したくない?」 「やろうよ! 俺たちがプロジェクトリーダーになるよ」
部門の壁を超えたプロジェクトチームの誕生。 それは、トップダウンで命じられたものではなく、現場の熱量から生まれた最強のチームです。

第5章:【実録ケーススタディ】対立が「最強の武器」に変わった日
Case 1:食品メーカー(営業部・工場長クラス 30名)「製販調整・正常化合宿」
- 課題: 特売商品の発注予測が外れ、大量の廃棄ロスと欠品が発生。責任の押し付け合いで関係が最悪だった。
- 実施内容:
- Day1: 「BBQ食材・流通シミュレーション」。限られた予算と時間で、最高のBBQセットを揃えて提供するゲーム。
- 気づき: 需要予測の難しさと、在庫リスクの怖さを営業が体感。工場側も、急なオーダー変更に対応する柔軟性の重要さを理解。
- 成果: 帰社後、製販調整会議の雰囲気が一変。「責める」のではなく「どうすれば誤差を減らせるか」をデータに基づいて議論するようになり、廃棄率が半減した。
Case 2:SaaS企業(フィールドセールス・エンジニア 20名)「バグ撲滅・信頼構築キャンプ」
- 課題: バグによるクレーム対応で営業が疲弊。「エンジニアは品質管理が甘い」と不満爆発。エンジニアは「営業が変な使い方を客に教えている」と反発。
- 実施内容:「ペア・トラブルシューティング」。
- 架空のトラブル状況下で、営業とエンジニアがペアになり、顧客対応とシステム復旧を同時に行うロールプレイング。
- 成果: 「顧客に怒鳴られる恐怖」をエンジニアが体験し、「原因特定までの焦り」を営業が体験。互いのストレスを理解し、「一緒に乗り越えよう」という連帯感が生まれた。
事例3:精密機器メーカー(開発・製造・営業 40名)「新製品ロードマップ合宿」
- 課題: 各部署がバラバラに動いており、新製品のリリースが毎回遅れる。
- 実施内容:「巨大イカダ・レース」。
- 開発が設計、製造が組み立て、営業が漕ぎ手。
- 全員が連動しないと進まないことを、湖の上で体感。
- 成果: 「パスを繋ぐ」意識が向上。部門間の情報共有タイミングを前倒しにするルールが決まり、開発リードタイムが20%短縮された。

まとめ:壁を壊した先に、絶景がある
部門の壁。それは、組織が大きくなる過程で必然的に生まれるものです。 しかし、その壁を放置すれば、組織は窒息します。
マグマリゾートは、その壁に風穴を開け、壊すための「ハンマー」です。
「営業のあいつ、いい顔して笑うな」 「工場のあの人、頼りになるな」
大自然の中で再発見した仲間の魅力は、オフィスに戻ってからも消えることはありません。
「製販一体」。 それはスローガンではなく、汗と涙と笑顔の中で築かれる「信頼」の結果です。
御社のモノづくりと、それを届ける力を、最大化するために。 私たちは、最高のステージを用意してお待ちしております。