「ワークショップ(Workshop)」 本来は「工房」や「作業場」を意味するこの言葉。 ビジネスの現場では、参加者が主体的に参加し、共同で何かを作り上げる場として定着しました。
しかし、今のワークショップはどうでしょうか。
綺麗に整えられた会議室。 壁一面のホワイトボード。 大量のカラフルな付箋(ポストイット)と、太いマーカー。
「さあ、自由にアイデアを出してください」
ファシリテーターの掛け声と共に、参加者は付箋に文字を書き、貼り付けていきます。 一見、クリエイティブな光景に見えます。 しかし、そこで生まれているアイデアは、本当に「新しい」ものでしょうか?
「既存の施策の焼き直し」 「どこかで聞いたようなバズワードの羅列」 「無難にまとめられた、角のない結論」
なぜなら、私たちは「言語」と「オフィス」という二重の檻(おり)の中で思考しているからです。 言葉にした瞬間に、思考は既存の概念に縛られます。 四角い部屋にいる限り、発想もまた四角くなります。
真の創造性(クリエイティビティ)は、言語化される前の「モヤモヤとした違和感」や「身体的な衝動」の中に潜んでいます。 それを捕まえるには、付箋を捨て、ペンを置き、野に出るしかありません。
マグマリゾート。 活火山の熱気、荒々しい大地、予測不能な風。 ここは、言語優位のロジカルな思考を強制停止させ、身体と直感で思考する「野性の工房(ワイルド・ワークショップ)」です。
脳だけでなく、全身を使って考える。 正解を探すのではなく、問いを身体で感じる。
本記事では、予定調和なブレインストーミングを破壊し、未踏のアイデアを掘り起こす、マグマリゾート流・ワークショップの全貌を、4000文字超の熱量で描き出します。

第1章:脱・言語化。言葉を捨てる勇気
「言葉」が思考を殺すとき
私たちは普段、あまりにも早く「言葉」にしすぎます。 何かを感じた瞬間に「要するにこういうことでしょ」とラベリングし、わかった気になってしまう。 この早期の言語化が、思考の深掘りを止め、陳腐なアイデアを生む原因です。 本当に革新的なアイデアは、まだ言葉になっていない「カオス(混沌)」の中にあります。 ワークショップの第一歩は、このカオスに耐え、安易な言語化を禁止することから始まります。
サイレント・センシング
マグマリゾートのワークショップでは、最初の1時間は「私語厳禁」です。 筆記用具も持ちません。 ただ、森の中を歩き、岩に触れ、風景を眺める。
テーマは「我が社の未来」や「新しい顧客体験」など抽象的なもの。 そのテーマを頭の片隅に置きながら、五感で世界を感じ取ります。
「このゴツゴツした溶岩の感触、今の我が社の現状に似ていないか?」 「あの木の根の広がり方、理想的なネットワーク構造に見える」
言葉を使わずに、メタファー(隠喩)として対象を捉える。 脳内の言語野を休ませ、感覚野をフル稼働させる。 「言葉にできないけれど、確かに何かを感じている」。 このムズムズする感覚こそが、新しい概念が生まれようとしている胎動です。 付箋に「ネットワークの強化」と書くのと、木の根を見てその生命力を肌で感じるのとでは、情報の解像度が桁違いです。 まずは、身体の中に「言葉以前の種」を宿すこと。それがスタートです。

第2章:ブリコラージュ。あり合わせで「未来」を作る
PCの中には正解はない
「新規事業のアイデアをパワポでまとめて」。 そう言われて作られた資料は、たいてい競合調査や市場分析のツギハギです。 自分の手触りがないからです。 「ブリコラージュ(Bricolage)」とは、文化人類学者レヴィ=ストロースが提唱した概念で、「あり合わせの道具や材料で、なんとかして物を作る」こと。 設計図通りに作るエンジニアリングとは対極にある、野生の思考法です。 未来は、計画するものではなく、今あるリソースを組み合わせて「作ってしまう」ものです。
ネイチャー・プロトタイピング
「森にあるものを使って、新しいサービスの形を表現してください」 使えるのは、落ちている枝、石、葉っぱ、泥、そして自分の身体だけ。
参加者は戸惑いながらも、手を動かし始めます。 「この石を顧客に見立てよう」 「枝で囲って、コミュニティを作ろう」 「川の流れを使って、情報の流通を表せないか?」
泥だらけになりながら、地面に巨大なモデルを作っていく。 手を動かしていると、脳が刺激されます。 「あ、ここがつながると面白いかも!」 「これだと入り口が狭すぎるな」
思考と行為が同時進行する。 抽象的なアイデアが、物理的な物体として目の前に現れる。 「なんか、これすごくワクワクしない?」 綺麗な図解よりも、泥で作った模型の方が、圧倒的なリアリティと熱量を持ちます。 「ないものねだり」をするのではなく、「今あるもの」で価値を生み出す。 このブリコラージュの精神が、イノベーションの突破口を開きます。

第3章:身体的思考。座っていては「視点」が変わらない
脳は身体の一部である
認知科学において「身体性認知(Embodied Cognition)」という考え方があります。 思考は脳だけで行われるのではなく、身体や環境との相互作用によって生まれるというものです。 ずっと同じ椅子に座り、同じ方向(ホワイトボード)を見ているだけでは、新しい回路は繋がりません。 視点を変えるには、物理的に動く必要があります。 立つ、歩く、寝転がる、見上げる。 身体の動きが、思考の角度を変えるのです。
360度パースペクティブ
議論が煮詰まったら、ファシリテーターが叫びます。 「全員、木に登ってください!」 あるいは、「地面に寝転がって空を見てください!」
物理的な視点を強制的に変える。 木の上から見下ろす景色。 地面スレスレから見る虫の視点。
「上から見ると、全体像がクリアに見えるな」 「下から見ると、障害物が巨大に見える」
この身体感覚を、ビジネスの課題に投影します。 「経営視点(鳥の目)で見るとこうだけど、現場視点(虫の目)だとこう感じるのか」。 頭の中でシミュレーションするだけでなく、実際に身体をその位置に置くことで、強烈な納得感(腹落ち)が得られます。 マグマリゾートという立体的なフィールドだからこそできる、全身を使った思考実験。 デスクワークで凝り固まった脳の筋肉が、ダイナミックにほぐれていきます。

第4章:対話のジャズセッション。予定調和を壊す「ノイズ」
「はい、次はBさんの番です」
司会者が順番に意見を求め、それを綺麗に板書していく。 これは「儀式」であって、ワークショップではありません。 本当の創発(エマージェンス)は、話が脱線し、誰かの発言に誰かが被せ、予期せぬ化学反応が起きた時に生まれます。 整然とした進行(クラシック音楽)ではなく、即興的な掛け合い(ジャズセッション)が必要です。 そのためには、あえて「ノイズ(雑音)」や「カオス(混沌)」を許容する環境が必要です。
ボンファイア・ジャム
ワークショップの後半は、焚き火を囲んで行います。 ここには司会者はいません。 誰が話し始めてもいいし、沈黙が続いてもいい。
パチパチという薪の音、風の音。 自然界のノイズが、会話の間を埋めてくれます。
「あー、なんか違うんだよな…」 「でもさ、さっきの石の積み方、面白くなかった?」
論理的な整合性など気にせず、思いついたことを投げ合う。 焚き火の炎が、批判的な空気を焼き尽くし、どんな突飛な意見も受け入れる土壌を作ります。
「それだ! それ、いただき!」 誰かの何気ない一言が、別の誰かのアイデアと衝突し、火花が散る。 予定調和な結論ではなく、全員が予想もしなかった「第三の案」が立ち上がる瞬間。 それは、管理された会議室では絶対に起きない奇跡です。 カオスを恐れず、波に乗る。 野生のワークショップは、即興演奏のようにスリリングです。

第5章:再・言語化。マグマを「言葉」に結晶化させる
体験を「お土産」にする
「楽しかったね」「いい経験になったね」。 それだけで終わらせてはいけません。 ビジネスの現場に戻れば、やはり「言葉」で伝え、「論理」で動かさなければならないからです。 重要なのは、一度捨てた言葉を、体験を経て、再び取り戻すプロセスです。 ただし、最初とは違う言葉です。 身体感覚と感情が裏打ちされた、重みのある「生きた言葉」です。
サンセット・マニフェスト
日が沈むマジックアワー。 ワークショップの総仕上げとして、チームごとに「宣言(マニフェスト)」を作成します。 模造紙やPCは使いません。 心に浮かんだ言葉を、シンプルに研ぎ澄ませます。
「私たちは、〇〇をする会社になる」 「僕たちの武器は、この泥臭さだ」
最初に出したような「効率化」「最適化」といった軽い言葉ではありません。 マグマの熱、森の静寂、身体の痛み。 それらを通過してきたからこそ出てくる、魂の叫びのような言葉。
「この言葉なら、信じられる」 「この旗印のもとなら、戦える」
再・言語化されたコンセプトは、強固な結晶のように輝きます。 それは、社内の誰も反論できないほどの強度を持っています。 なぜなら、そこには全員で共有した「原体験」という最強のエビデンスがあるからです。

まとめ:ワークショップは、予定調和への反逆である
「ワークショップをやったけれど、結局何も変わらなかった」。 それは、最初から「落とし所」が見えていたからです。 予定調和なワークショップは、時間の無駄です。
マグマリゾートでのワークショップは、正解のない森への冒険です。 迷子になり、泥にまみれ、それでも光を探して進むプロセスそのものです。
「こんなアイデア、会議室じゃ絶対に出なかった」 「チームの結束力が、理屈じゃなく肌でわかる」
便利さを捨て、言葉を捨て、野生に還る。 そこから持ち帰った「何か」は、必ずや御社のビジネスに生命力を吹き込みます。
脳みそが汗をかく快感を。 魂が震える共創体験を。
本気のワークショップを求めるなら、マグマリゾートへ。 皆様の挑戦を、心よりお待ちしております。