「来年は創業50周年だ。盛大なイベントをやってくれ。君が実行委員長だ」
社長からそう告げられた瞬間、あなたの心に浮かんだのは「光栄だ」という喜びでしょうか。それとも「通常業務も忙しいのに、どうしよう」という不安でしょうか。
多くの企業において、周年事業(アニバーサリー・プロジェクト)は、若手エースや各部署のキーマンを集めて結成されます。 しかし、彼らの多くは「イベント屋さん」ではありません。 「式典の会場はどうする?」「記念品は何にする?」「OB・OGへの案内状は?」 膨大なTo Doリスト(タスク)に追われ、いつしか目的が「無事に式典を終わらせること」にすり替わってしまうケースが後を絶ちません。
これでは、莫大な予算を使った「自己満足のパーティー」で終わってしまいます。 周年事業の真の目的は、過去を懐かしむことではありません。 過去の延長線上にはない「未来への助走(ランナップ)」をつけることです。
創業者がどんな想いでこの会社を作ったのか(Origin)。 私たちが受け継ぐべきDNAとは何か(Core)。 そして、次の10年、50年、私たちは社会に何を提供するのか(Vision)。
これらを定義し、全社員の心を一つにする「祭り(フェスティバル)」を設計するためには、実行委員自身が、誰よりもその会社の過去と未来に没入しなければなりません。
マグマリゾートは、数万年の歴史を持つ大地の上に立つ場所です。 ここでの合宿は、日常業務のノイズを遮断し、企業の「時間軸」を旅するためのタイムマシンとなります。
本記事では、周年事業を「面倒なイベント」から「会社の歴史を変える転換点」へと進化させるための、マグマリゾート流「未来創造合宿」の全貌を解説します。

第1章:「イベント屋」になるな。「未来の脚本家」になれ。視座を高めるセットアップ
手段の目的化を防ぐ
プロジェクトが始まると、すぐに「ホテルはどこにする?」「記念ロゴはどうする?」といった「手段(How)」の議論に入りがちです。 しかし、その前に固めるべきは「誰に、どんな感情を持ち帰ってもらいたいか(Who & What)」というコンセプトです。 オフィスで会議をしていると、どうしても目の前のタスク処理に追われ、視座が低くなってしまいます。
マグマ・コンセプト・メイキング
合宿の初日は、一切のPC作業を禁止し、コンセプト作りだけに集中します。 場所は、リゾートを見下ろす高台のテラス。 眼下に広がる森と、遥か彼方の水平線を見ながら問いかけます。
「50年後の社員が、今日の私たちの活動を振り返った時、何と言うだろうか?」 「この周年事業は、会社の歴史の『第何章』の始まりなのか?」
時間軸を長く取ることで、思考のスケールが広がります。 「単なるお祝い(Celebration)」ではなく「変革の宣言(Declaration)」にしよう。 「感謝を伝える」だけでなく「覚悟を示す」場にしよう。
ここで定まったコンセプトは、迷った時の羅針盤となります。 「それはコンセプトに合わないからやめよう」「予算オーバーだけど、コンセプト実現のためには必要だ」。 判断基準が明確になり、チームは「作業員」から「未来を描く脚本家」へと進化します。

第2章:創業の「熱」を掘り起こす。アーカイブ(社史)に命を吹き込む旅
文字だけの社史は響かない
「創業者は、リヤカー一台から始めた」。 社史に書かれたその一行を読んでも、現代の社員にはピンときません。 DNAを継承するためには、文字情報(ロゴス)ではなく、その時の情熱や苦悩といった感情情報(パトス)を追体験する必要があります。
DNA・エキスカベーション(発掘)
合宿には、会社の倉庫に眠っていた古い写真、創業時の商品、手書きの日報などを持ち込みます。 そして、可能であれば創業メンバーや、当時を知るOB・OGをゲストとして招きます。
焚き火を囲みながら、当時の話を聞きます。 「あの時、資金繰りがショート寸前でね。でも、この商品の可能性だけは信じていたんだ」 「台風で工場が水浸しになった時、地域の人たちが泥をかき出しに来てくれたんだよ」
語り部の声の震え、炎に照らされた表情。 それらを通じて、今の会社が「当たり前」に存在しているわけではないこと、多くの先人たちの「熱」と「恩」の上に成り立っていることを肌で感じます。
「私たちの会社には、こんなに熱いドラマがあったのか」 「このバトンを、途絶えさせるわけにはいかない」
知識としての社史が、自分事としての「誇り(プライド)」に変わる瞬間。 この感動こそが、周年事業のコア・コンテンツとなります。

第3章:全社員を巻き込む「祭り」の設計。トップダウンではなく「全員参加型」へ
「やらされ感」のあるイベントの寒さ
実行委員だけで盛り上がり、当日の社員は冷めた目で見ている。 これが最も悲しい周年イベントのパターンです。 成功の鍵は、準備段階からいかに多くの社員を巻き込み(インボルブし)、「自分たちの祭りだ」と思わせるかにあります。
マグマ・フェスティバル・デザイン
合宿では、リゾートの広大な敷地をキャンバスに見立てて、当日の演出をシミュレーションします。
「ここで全社員による人文字を作ろう」 「社長のスピーチは、ステージじゃなくて、社員の真ん中でやってもらおう」 「全国の支店から『地元の水』を持ち寄って、一つの樽に注ぐ儀式はどうだろう?」
机上の空論ではなく、実際にフィールドに立ち、風を感じながらアイデアを出すことで、リアリティのある企画が生まれます。 また、社員を巻き込むための「プレイベント」の企画も練ります。 「全社横断・未来妄想コンテスト」「創業の味・復活プロジェクト」。
「実行委員だけが頑張る」のではなく「全社員が主役になる」仕掛け。 マグマリゾートの開放感は、凝り固まった「式典の常識」を壊し、ワクワクする「祭り」のアイデアを次々と生み出します。

第4章:次の時代(Next Era)のビジョン策定。バックキャスティングで描く未来
過去を懐かしむだけでは意味がない
周年事業の最大の落とし穴は、「懐古趣味」で終わってしまうことです。 過去は変えられませんが、未来は創れます。 周年とは、過去に感謝しつつ、過去と決別し、新しい自分たちに生まれ変わるタイミングでもあります。
サンライズ・ビジョン・ワーク
合宿の2日目の早朝、日の出と共にワークショップを行います。 テーマは「10年後、私たちは社会に何を提供しているか」。
既存事業の延長線上で考えるのではなく、ありたい未来から逆算(バックキャスティング)して考えます。 「今の主力事業がなくなっているかもしれない」 「全く違う業界に進出しているかもしれない」
タブーなしの議論。 「創業の精神(DNA)」は守りつつ、「事業の形(Form)」は大胆に変える。 ここで描かれたビジョンは、周年式典での社長スピーチの原案となり、中期経営計画の骨子となります。
「次の10年は、私たちが創るんだ」。 実行委員たちの目に、未来への覚悟が宿ります。

第5章:【実録ケーススタディ】社史に残る一日を作ったチームの記録
事例1:老舗食品メーカー(創業60周年・プロジェクトメンバー15名)
- 課題: 社員の高齢化が進み、守りの姿勢が蔓延。「還暦(60周年)」を機に、生まれ変わりたいが、アイデアが出ない。
- 実施内容:「赤いちゃんちゃんこを着ない還暦祝い」。
- 合宿で「60歳=老人」というイメージを払拭し、「0歳への還り(Re-Born)」をテーマに設定。
- 創業時の「幻のレシピ」を、若手社員の手で現代風にアレンジして復活させるプロジェクトを立案。
- 成果: 式典当日、新旧融合した新商品を全社員で試食。「昔の味もいいけど、新しい味もいいね」と、ベテランと若手が笑顔で語り合う光景が生まれた。過去を否定せず、未来へ進む空気が醸成された。
事例2:IT企業(創業10周年・メンバー20名)「ベンチャー卒業・感謝祭」
- 課題: 急成長で社員数が10倍になり、初期メンバーと新入社員の間に溝があった。創業時の苦労を知らない社員が増えた。
- 実施内容:「ヒストリー・ウォークラリー」。
- リゾート内の森に、創業からの10年の出来事(倒産の危機、初受注、上場など)をパネルにして設置。
- チームで森を歩きながら、その時々のエピソードをクイズ形式で学ぶ。
- 成果: 「今の綺麗なオフィスがあるのは、あの時の泥臭い営業があったからなんだ」と新入社員が感動。組織の一体感が強まり、「次の10年も伝説を作ろう」という合言葉が生まれた。
事例3:専門商社(創業100周年・プロジェクトメンバー30名)「センテニアル(100周年)・キャンプ」
- 課題: 100年の重みがありすぎて、形式的な式典になりそうだった。若手が意見を言いにくい雰囲気。
- 実施内容:「タイムカプセル・212X」。
- 次の100年に向けたメッセージを、リゾートの敷地内に埋める(実際の埋設許可エリアを使用)。
- 役員も若手も全員が「未来への手紙」を書く。
- 成果: 「100年後、この会社はどうなっているか」を真剣に考えたことで、目先の利益だけでなく、企業の永続性(サステナビリティ)に対する当事者意識が全社員に芽生えた。

まとめ:周年事業は、最大の「人材育成」である
実は、周年事業の最大の成果物は、イベントそのものではありません。 それを成し遂げた「プロジェクトメンバーの成長」です。
会社の過去・現在・未来を深く考え抜き、部署を超えて協力し、全社員を巻き込んで大きなムーブメントを作る。 この経験をした彼らは、間違いなく次世代の経営幹部候補となります。
マグマリゾートでの合宿は、彼らが「やらされ仕事の担当者」から「未来を創るリーダー」へと脱皮するための舞台です。
「あの周年イベント、本当にやってよかったね」 「あの時の合宿が、すべての始まりだったね」
数年後、そう語り合える仲間と記憶を、ここで作ってください。 過去への敬意と、未来への希望を込めて。 マグマリゾートは、御社の記念すべき節目を全力で祝福し、サポートいたします。